今回のMEQRI JOURNALでは、『士郎正宗の世界展〜「攻殻機動隊」と創造の軌跡〜』とのコラボレーションアイテムのLOOKモデルを務めた、ロックバンド・coldrainのギタリスト、Sugiさんにお話を伺いました。
Lei:初めまして!まずは自己紹介をお願いします。
Sugi:coldrainでギターを担当しているスギです。よろしくお願いします。
Lei:今回は「士郎正宗の世界展」とのコラボアイテムのLOOK撮影でしたが、率直な感想は?
Sugi:すごく可愛かったですね。正直、最初はもっといかついデザインを想像していたんですけど、実際はタッチが90年代っぽくて、懐かしい雰囲気がありました。「良かったな、この頃」って思えるような、ちょっとほっこりする感じで可愛いアイテムだなと感じました。
Lei:お気に入りのアイテムはありましたか?
Sugi:「Tee 射検」ですね。最初に見た時、1番に目に入って「いいな」と思いました。しかも僕の好きな「攻殻機動隊」のデザインで、夏にもぴったりですごく気に入りました。
Lei:実は今回の撮影ではSugiさんの私服でスタイリングしていただいているんです。デニムのオーバーオール合わせめっちゃ可愛かったです。Sugiさんだったらあのスタイルでどこに着ていきたいですか?
Sugi:友達がいっぱいいるフェスに着ていきたいですね。実は僕の周りにも「攻殻機動隊」ファンが沢山いるので、これを着て、このLOOK撮影のモデルをしたことまで自慢したいです(笑)。
Lei:絶対お願いします(笑)。普段のご自身のスタイルでのこだわりはありますか?
Sugi:基本的には、これが好きとか、このブランドがいいという強いこだわりは特になくて。「自分が可愛いな」と思ったものを気軽に取り入れるスタンスでいます。以前はオーバーオールに少し抵抗があったんです。でも、妻に「それ似合うじゃん」って言われたら、素直に着てみようと思えるくらい、ファッションに対しては気軽に楽しんでいます。「こだわりを持たない」というのが、逆に自分のこだわりかもしれないです。
Lei:ライブでの衣装を拝見していると、いつもノースリーブを着ている印象があります。そのスタイルには、何かこだわりがあるのでしょうか?
Sugi:あれは身軽だからです(笑)。ギターを弾くときに袖があると邪魔なので、そういうストレスを減らすためにも、なるべく身軽な格好にしています。あとはタトゥーも見えるので、見た目の面でもロック感が伝わりやすいかなと。
Lei:ちなみに袖は切ってるんですか?
Sugi:自分で切ってます。めちゃくちゃ上手いですよ(笑)。リハが終わって、ライブ本番前に楽屋でチョキチョキしてます。多分これまでに100枚以上は切ってますね。
Lei:ではSugiさんが影響を受けたカルチャーやルーツはありますか?
Sugi:日本のアニメからかなり影響を受けていますね。特にアニメのオープニングや劇中音楽など、「攻殻機動隊」で言えば、菅野よう子さんや川井憲次さんといった、日本を代表する作曲家たちが手掛けたサウンドは本当に素晴らしくて。打ち込みのサウンドと、生の楽器や歌声が融合していて、影響を受けました。きっと多くの日本人ミュージシャンも同じように強い影響を受けているんじゃないかなと思います。それくらい、本当に誇るべき文化だと思いますね。
Lei:日本のアニメから影響を受けて制作した楽曲はありますか?
Sugi:昔ですが、『AKIRA』をイメージして作った曲があります。他のメンバーも「攻殻機動隊」や『AKIRA』を始めとしたアニメ好きなので、少なからず僕らの音楽スタイルにも影響を与えていると思います。
Lei:ちなみに、『AKIRA』をイメージして作られたという楽曲のタイトルを伺ってもよろしいですか?
Sugi:『Come awake』という曲です。相当前なんですけど、ファーストシングルのカップリング曲で、僕が勝手にイメージして勝手に作りました(笑)。
Lei:士郎正宗先生の作品の中でも「攻殻機動隊」がお好きだとお伺いしました。今日私服で「攻殻機動隊」のTシャツ着ていられましたよね?
Sugi:そうなんです。glambというブランドと「攻殻機動隊」がコラボしているアイテムです。
Lei:「攻殻機動隊」を初めてみたのはいつ、どのようなきっかけで?
Sugi:20歳ぐらいの時に初めて観ました。友達が『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のDVDを持っていたので、借りました。レンタルビデオ屋で他のシリーズも借りて観てましたね。
Lei:初めて見た時の感想は?
Sugi:正直よくわかんなかったです(笑)。でもキャラクターデザインやメカデザインとか、観ていてすごくワクワクしたんですよね。未来への希望と不安を感じながら楽しんでました。
Lei:ご自身で解釈して楽しめるようになったのはいつ頃ですか?
Sugi:最近、改めて『攻殻機動隊』を見直したんですよ。ちょっと原点に立ち返ってみようと思って。久しぶりに観たんですけど、やっぱり今の時代って、もう攻殻機動隊の世界に片足突っ込んでるような感覚があるんですよね。今だからこそ理解できる部分がたくさんあって、ちょっと「怖っ」って思いました。予言じゃないですけど「なんであんな昔からここまで未来が見えてたの?」って。
Lei:「攻殻機動隊」の好きなシーンや印象に残っているセリフはありますか?
Sugi:人形使いが入った義体が自ら起動し、「AIではない。私は情報の海で発生した生命体だ」というセリフを発するシーンがとても印象的でした。それって今で言う、シンギュラリティにすごく近いなって感じました。機械が意識を持ち、人間の命の定義もテーマの一つになっていると思うのですが、まさにそんな世の中になってきているなと。今改めて深掘りしていくと、どんどん奥が深くなっていくアニメだなと感じます。もう"アニメ"という枠を超えていて、本当にどこまでいっても考えさせられる、恐ろしく深い作品だと改めて痛感していますね。
Lei:最初に観た時と、改めて振り返った時では、印象が大きく変わったんですね。
Sugi:そうなんです。喰らいつくように観ちゃって、本当に「攻殻機動隊」の世界になってきてて、「どうなっちゃうんだろう!」ってなってます。
Lei:「攻殻機動隊」のどういうところに惹かれているんでしょうか?
Sugi:やっぱり「攻殻機動隊」ってただのアニメじゃないなって感じます。
世界観が本当に緻密に作り込まれていて、キャラクター一人ひとりにも深みがあるというか。義体でも、ちゃんと"人間性"が描かれているんですよね。そういう部分にすごく考えさせられるし、そこが大きな魅力だなって、改めて感じました。
Lei:先ほど「攻殻機動隊」の音楽にも影響を受けられたとお話しされていましたが、その音楽性についてはどのようにお考えですか?
Sugi:一番衝撃を受けたのは、川井憲次さんが作曲された、西田和枝社中という女性の民謡グループが歌っている楽曲があって、その曲を聴いたときは本当に衝撃的でした。歌詞もすごく古い日本語で、それが『イノセンス』という作品でフィーチャーされていて。すごく日本的な一方でバックでは打ち込みの機械的なサウンドが鳴っていて、そのミックス具合がとにかく独特なんです。かなり脳天に直撃します。日本という"島国"で独自に進化してきた、ガラパゴス的なサウンドというか、日本の伝統と現代が融合した音楽だと感じます。ミュージシャンとして長くやってるほど、食らいますね。
Lei:coldrainはアニメのタイアップなども多数手掛けていますが、普段の楽曲制作と異なる部分などはございますか?
Sugi:基本的にはもう一人のギターが作曲を担当するんですけど、アニメの楽曲制作のときは、まず作品にちゃんと触れるんですよね。メンバーそれぞれが、その作品の世界に入り込んで、その世界観をしっかり想像してから音楽を作っていく。そういうアプローチって、普段の曲作りとはまた違う感覚なんじゃないかなと思います。
でも、多分僕らに求められているのって、やっぱりヘビーやメロディックであるという部分だと思うんですよね。そうじゃなければ、そもそも僕らにお話をいただけることはないはずだと思っていて。そういう意味では、いつものスタンスで自分たちが「かっこいい」と思えるものを落とし込んでいくというところは基本的に変わっていない部分ですね。
Lei:海外でのライブや活動を通して、視野やスタイルに影響を受けた経験はありますか?
Sugi:そうですね。それこそ、ライブハウスでの音楽の楽しみ方が違ったりします。海外では、お酒を飲みながらライブをする人が多くて、そういうフランクな空気感ってすごくいいなって思って、気持ちを楽にしてパフォーマンスできました。あとは、日本のバンドってやっぱりかっこいいなって、海外に行って思うことも多いです。
Lei:どういうところで感じるんですか?
Sugi:海外のアーティストって、クールにライブをやるんですよ。でも日本のバンドは一つひとつのステージに対する覚悟や熱量がものすごく強いと感じていて。ライブが終わってぶっ倒れちゃったり、酸欠で酸素ボンベを使う人がいるくらい。その熱量の強さは「やっぱ日本のバンドってかっけぇ」と思います。
もちろん海外にもとんでもない熱量を持ったバンドはいるんですけど、それでも熱を帯びたバンドが、日本には本当に多いと思います。
Lei:最後に、今後のcoldrainとしての活動や個人の展望について教えてください。
Sugi:coldrainとしては、来年2月に僕ら主催のフェス「BLARE FEST. 2026」をポートメッセなごやにて開催する予定なんです。それこそ海外のバンドを日本に呼んで、日本のバンドの"かっこよさ"とか"いかつさ"を見せつけたいし、逆に日本のバンドにも、海外バンドのライブの演奏力を肌で感じてもらいたいと思ってます。お互いの"かっこよさ"を見せ合うフェスを3年ぶりに開催します。今はその開催に向けて、いろいろと動いているところです。
Lei:フェス頑張ってください!本日はありがとうございました!
Sugi (coldrain)
Instagram @sugi_coldrain
Sugi / Guitar
岐阜県出身、A型。2007年、coldrain結成、日本を代表するロックバンドとして世界を舞台に活動中。
Lei
Instagram @leipooon
1997年、兵庫県出身。MEQRI JOURNAL ディレクター。13歳からタレントとして活動後、2022年に自身のブランド『Margarines』をスタートしデザインやディレクション全てを行う。同年、クリエイティブスタジオ『studiolab404.com』の立ち上げと共にメンバーとして加入。
着用アイテム
士郎正宗展 Tee ARCHIVE
士郎正宗展 Tee 射検
士郎正宗展 Tee デュナン&ブレアリオス
着用サイズ:XL